馬人一体

競馬の世界では「人馬一体」という言葉があるように、レースでは馬だけはなく騎手の技術が勝敗に大きく左右します。
優秀な調教師がどれだけ万全な仕上げをして的確な指示を与えても、いったんレースが始まればすべての明暗は手綱を取る騎手が握っているといっても過言でありません。
一流騎手ともなれば年収は数千万円にもなり、その存在はマスコミにも注目されます。花形の職業といえるでしょう。

しかし誰でも騎手になれるわけではありません。
中央競馬では、競馬学校の騎手過程を卒業した者でなければ騎手になることはできないのです。
競馬学校への入学にもさまざまな制限があります。
二十歳以下という年齢制限(現実としては中学校の新卒者がほとんど)もありますが、競馬学校独特ともいえるのが体格に関する基準です。
競馬ではレースに出走する馬が斤量を背負います。

例えば2歳牝馬の定量戦では、各馬53キロの斤量を背負いますが、騎手は最低でも53キロ以下の体重でなければ馬が余計な斤量を背負うことになってしまいます。
ですから騎手はこの体重を維持できる騎手でなければなりません。
時にはハンデ戦で50キロ以下の斤量の馬に乗るケースも出てきます。

競馬学校で入学時に体格基準が設けられているのはそのためです。
入学時は厳しい体重制限があり、それを超えてしまうと退学を余儀なくされ、騎手の道は絶たれることになります。
そうならないために、食べ盛りの10代でありながらも厳しい食事制限に耐えなければなりません。
中退者も多く、競馬学校を卒業する割合は一般の高等学校よりも低いといわれます。

競馬学校を卒業した騎手はやがてデビューを迎えます。
彼らの騎乗は賭け事の対象にもなるため、わざと負けたり、他馬の走行を妨害するような行為があった場合は審議対象となり、騎乗停止や罰金など厳しく処罰されることもあります。
そのため騎手には騎乗技術だけではなく、高いモラルも求められるのです。

また騎手には落馬のアクシデントも付きものです。落馬によって命を落としたり、一生動けない体になることもあります。どんな名手にも起こりうることで、まさに命がけの職業といえます。

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